「バーナンキのFRB」 ASIN:4478290490 2章より

資産バブルに対して中央銀行がどう振舞うかは将来を考えるに当たり重要と思われます。

「バブル期の金融政策とその反省」(香西秦・伊藤修・有岡律子 『バブルと金融政策』日本経済新聞社収録)に興味深い指摘が載っている。

  • バブルを引き起こすには、金融緩和(その前提としての物価安定)だけでは十分ではない。期待の強気化が必要である。
  • (中略)資産価格の変動を物価変動の先行指標とみなしてよければ、長期的な物価安定を図るため資産価格の動向にも配慮することが必要になる。
  • (1980年代後半には)日本の低金利が国際的要請によるもので拒否できないとの見方が広まり、低金利が永続するかのような予想が強固になってバブル誘発の一因になった。
  • 金利神話が定着したのは、財政当局が中央銀行をさしおいて低金利を国際的に公約したような状況が伝えられ、中央銀行の自主的判断の余地が乏しいとの印象が強められたことの一因となっている。このことはゼロ金利についても示唆を与える。

日本銀行の国内政治、国際政治からの独立性は低いと国民からみなされたことが、低金利永続神話を予備、それが期待を強気化させたとい指摘は今日的にも重要である。

今日も似たような状況で、政府は日銀に盛んに牽制を入れているようにも見えます。

ガルブレイズは 「バブルの物語」ASIN:4478200246

金融上の記憶というものは、せいぜいのところ20年しか続かないと想定すべきだ。
20年も経てば、「大きな災厄の記憶が消え、前回の狂気が何らかの装いを変えて再来」する。

と書いています。そろそろあのバブルから20年近く。何か起きても不思議ではないので、政府と日銀には注意を払おうと思います。


FRBイングランド銀行の認識は

  • 金融政策で予防的に資産バブルや不均衡を防ぐことはできないだろう。
  • バブルの出現を確信した時にはマイルドな金融政策を使うには遅すぎ、資産バブルに対して金融引き締めを行うと、経済は二つのデフレ衝撃 ( 1 バブル崩壊、2 遅れて現れる金融引き締め効果 ) に見舞われる
  • したがってバブルの予測は困難だがチャレンジする必要があり、政策決定の要因として考慮せねばならない。
  • つまり、金利を設定するときに資産バブルや金融の不均衡といった長期的な影響についても考慮すべき。

だそうです。きっと今日の日銀も同様でしょう。


以上を踏まえると、藤巻さんやJPモルガン証券菅野雅明さんの「日銀は利上げしべし」という主張がわかったような気分になれます。