トービン「金融論」 5章、6章、7章
私の理解した範囲では、貨幣数量論では資産価格は一般物価と同じ割合で同時の変動し、初級のケインジアンの世界では資産は貨幣と債券の2種類しか出てこない。ゆえに、金融を緩和すると 1) まずリスク資産価格が上昇し、それが 2) 景気を加速し、3) 一般物価のインフレにつながる、という資産効果をスッキリ理解できないでいました。
信用恐慌の謎―資本主義経済の落とし穴 (http://d.hatena.ne.jp/guerrillaichigo/20061227)では、実体経済の取引のほかに、思惑で動く資産の取引の市場があって、マネーを注入しすぎるとそちらの取引が値上がりを伴いつつ取引が増大する... というような説明でしたが、どういう条件がどう作用するという関係はいまひとつはっきりしません。
1年以上前の秋、藤巻さんは「トービン」!とヒントを出してくれました。(その少し前にトービン 金融論の日本語訳が出たと思う)。
相変わらず消化不良気味ですが、読み応えあります。
例えば、
- 5章 ポートフォリオ均衡:貨幣、資本、および貸付
- 6章 金融市場と資産価格
- 7章 銀行の理論
このあたりが「資産効果」をズバリ説明しています。
モデルの数式を追いかけて疲れますがなんとか自分のものにしたい。
この本の元となったプリントはトービンが在籍したイェールやMITの大学院の授業で長年使われていたという。ということは... 藤巻さんはノースウエスタン時代にリサーチ済み、藤巻さんの友人達(ヘッジファンドのオーナー達やシニアな連中達)も当然良く知っている。それを念頭に、藤巻さんは外国人のリスク資産購入やマクロ経済の動きを予測してるのでしょう、こんな風に思いました。
トービン 金融論、Amazon.co.jpでは誰も書評を書いていない、つまり、売れていないということでしょうか。確かに、神秘的なグラフやギリシャ文字や微積分記号いっぱいの数式に満ちているので決して一般受けしないでしょう。このあたりが、FRBと日本の多くのマスコミの差であり、藤巻さんが「中央銀行総裁の発言に注目せよ」とアドバイスしてくれた背景かも知れませんね。
しばらく(疲れていない日には)トービンで楽しめます。
- 作者: ジェームストービン,James Tobin,薮下史郎,蟻川靖浩,大阿久博
- 出版社/メーカー: 東洋経済新報社
- 発売日: 2003/09/01
- メディア: 単行本
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