藤巻健史の5年後にお金持ちになる「資産運用」入門 が文庫になっていた --- 5/25追記

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藤巻健史の5年後にお金持ちになる「資産運用」入門 (知恵の森文庫)

藤巻健史の5年後にお金持ちになる「資産運用」入門 (知恵の森文庫)

書店で見かけたら藤巻さんの補筆の有無をチェックします。



=== 5月25日 追記 ===

書店にて文庫版を発見。 「文庫本のためのまえがき」がちゃんとありました。 単行本とは時間差があり、その間に藤巻さんのviewがどう変わったか!、ここがwatcherの注目点です。 立ち読みですましてもよいのですが、プロパガンダや著作でお世話になっているゆえ、藤巻さんに敬意を払いちゃんと買いました。

今年の2月27日、上海株式市場の急落をきっかけとして、世界同時株安が起きました。(中略)、この世界同時株安は世界経済のファンダメンタル(基礎的状況)の変化によっておきたことではなく、単なる需給問題でおきたことだと考えていました。 (中略)
「資産インフレから消費者物価のインフレへ」という、私の描いている日本経済の大きなトレンドは、びくともしていないのです。
(中略)
先日発表になった地価公示価格を見ても、この講義をした1年半前から、経済情勢は、ますます私の想定するとおりの方向に進んでいると思われます。 この大きなトレンドは、まだ始まったばかりでしょう。 トレンドに乗るのには、まだ遅くはありません。

とのこと。 藤巻さんのViewは変化していません。

かつて読んだ本を改めて読むと、当時読み過ごしていたポイントに気づき、ナルホド!と思うことがあります。 例えば、


文庫版 58ページ
普通、世間はCPI(消費者物価指数)でインフレ、デフレを判断しますが、藤巻さんは土地・株といったリスク資産の価格を見ています。 以前は、これは伝説のトレーダーのノウハウのひとつかなあ、と思っていました。 しかし、インフレ・デフレはモノの価格変化ではなく貨幣の価値の変化と見れば、貨幣という資産と他の資産のどちらを選ぶかという「資産選好」が変化 → リスク資産の需給の変化 → リスク資産価格の変化、となり、ケインジアンの理論をベースに藤巻さんはロジックをたてているらしい、とわかります。 これに関しては「トービン」というヒントを藤巻さんは出してくれていました。 実体経済の動きは遅いですが、 ジャブジャブのおカネは「資産選好」でさっさと動く。 マネタリーベースが大きく増加したからには資産インフレになるハズ!、というロジックでしょう。
一方、エコノミストはCPIを見る。 こちらは旧東側(中国・インドを含む)が西側経済に組み込まれることで供給が過剰気味なので、CPIはなかなか上がらない。


文庫版 62ページ、63ページ
資産インフレは実体経済を活気づけ、その結果としてCPIのインフレになる。 バブル末期にCPIが上がり始め、日銀が金融を引き締めたためCPIはそれほど上がらなかった。... いま、このまま日銀が引き締めをしないでいると、すごい資産価格の上昇が、局地的に起こるのではないかという気がしています、とのこと。
藤巻さんはモーニングサテライトで「資産インフレからCPIのインフレに到る」という趣旨のコメントをしているので、日銀はバブルにならない程度のゆっくりとした遅めの利上げで資産インフレを進行させ、CPIのインフレに到る程に経済を活発にさせる、と見ているのだろうなあと私は思います。


文庫版 69ページ
CPIのインフレ率は昔のような10%とか20%とかのインフレになるとは考えていない、もっと政府・日銀が少しでも政策を間違えるとそのリスクは相当高くなる、ただし、土地と株の価格についてはかなり上がり、そうなれば、日本経済はよくなると思っている、とのこと。
財政赤字のことがあるため、10%とか20%とかのインフレ率になる前に日銀はブレーキを踏む(政策金利を引き上げていく)。
ただ、遅め遅めの金利引き上げで、資産インフレで景気を良くし、マイルドなCPIインフレにとどまるよう金利を調整する。 ここでしくじって長期金利が跳ね上がっちゃうと財政破綻ハイパーインフレなので、景気が良くなった頃の政府・日銀の経済政策には気を配る必要がありそうです。 暫く先のことでしょうが、気に留めておきましょう。


実は...
小野善康教授の 不況のメカニズム―ケインズ『一般理論』から新たな「不況動学」へ (中公新書) で、ケインズ新古典派の考え方の違いを学んだ直後だったこともあり、資産価格が実体経済に影響を与えるメカニズムが自然に感じられるようになりました。 (ここがずっとすっきりしなかった)。 新古典派のモデルではなくケインズふうに考える....。


このように私は喜んでいますが、単に勘違い...という可能性もありますので、自分で考えてください。