マーケットは森羅万象を織り込む、[本棚]生き残りのディーリング

連日の暑さでバテてふらふらしていたら、内外の株価は下落し、円高に振れました。 動くときには随分動くものですね。
かつてはこんなときに呆然としていたこともありましたが、私はレバレッジをかけないしいくらか知識も増えたので、マーケットは森羅万象を織り込む*1のでこういうこともあろう、と構えています。 (...これが裏目に出るかもしれませんが...。)

サブプライムローンに由来する仕組債に投資してやられた投資家(例えばヘッジファンド)が日本の株を売ったのかも知れません。
その外国人投資家は為替(円安)で日本株キャピタルゲインが目減りするのを嫌い先物で円売りポジションを持っていたものの、日本株のポジション解消とともに先物で円を買い戻して、円が高くなったのかもしれません。
日本株の下落を予想した投資家が、保有中の日本株ポートフォリオの目減りをヘッジするために一時的に日経平均先物を売ったのかも知れないし、短期の投資家が下げに乗じて利益を得ようと積極的に先物の売りや空売りに出たのかも知れません。
あるいは、円高を予想し、円安ヘッジの円売りポジションを反対売買の円買いでクローズしたのかもしれません。 「円キャリートレード」の巻き戻しが起きると信じた投資家が積極的に円を買いまくったのかもしれません。 外国為替証拠金取引のポジションがストップロスに達し円を買い戻すことになったのかも知れません。
あるいは、ひょっとしたら、藤巻さんがどこか高くて見晴らしの良いところ(NYの高層ビルの上の方のガラス張りのフロアとか、箱根のロープウエーとか)にいらっしゃったのかも知れません。

市場に入っている資金が長期か短期かを区別する、ということを矢口新さんの本「生き残りのディーリング」で学びました。 確か、個人の余裕資金や生保の資金は長期にわたり資産を持ち続けることが出来るので長期の資金のアセットアロケーションが長期のトレンドラインを形成し、機関投資家の借入や先物で建てるポジションはいずれ反対売買で閉じられるため短期の上下動を作る、というものです。

生き残りのディーリング決定版―相場読本シリーズ<10>矢口 新 (パンローリング相場読本シリーズ)

生き残りのディーリング決定版―相場読本シリーズ<10>矢口 新 (パンローリング相場読本シリーズ)

最近はこちらの版が出ているかも。
実践 生き残りのディーリング (現代の錬金術師シリーズ)

実践 生き残りのディーリング (現代の錬金術師シリーズ)

さて、今回の場合は、経済のファンダメンタルズは決して悪くないとすれば、信用不安が人々を萎縮させるほどでなければ、短期資金のポジションはいずれ反対売買で閉じられある水準に落ち着くだろうなあ、円買いドル売りや円買いユーロ売りは金利差の逆風があるから長くは続けられないんじゃないかなあ、と思いますがどうなるでしょうか。

でも、時価評価が目減りするのは楽しくないと感じるときもあります。 そんなときは、「時々暴落しなきゃ澤上さんが買ってくれないじゃないか!*2」、と自分に言い聞かせましょ。

*1:藤巻さんの言葉

*2:澤上さんは私が買いたい会社を私よりも安く買うので、最近は個別銘柄の研究をサボってさわかみファンドにまかせきり...。