ドル安・ドル高

nobumariさんより「ドルをどう思うか」という趣旨のコメントをいただきました。
うーーん。
藤巻さんですら、「為替は難しい」。
私は「ケインズのいう美人投票みたいなものか」と変動を達観しています。


これではあまりにも情けないので、基本に立ち返って考えて見ます。
長期に水面下で作用する力として貨幣数量説からスタートします。紙切れが価値を持つ理由は取引の媒体として通用するためで、それゆえ日々の経済活動のためにおカネを保有せねばならない。人々が必要とするおカネは経済取引量に比例する。おカネが増えすぎるとそのぶん価値が減る。インフレ。


円の場合、マネタリーベースが2倍に増えた → おカネが回り始めればマネーサプライもいずれ2倍に → 円の価値は半減。これが藤巻さんの円安ロジックだと思います。


ドルの場合、基軸通貨なので米国民の他に貿易をする世界中の人々もドルを需要する。だからグローバリゼーションで貿易が盛んになれば、ドルを多めにばら撒かなきゃいけない。世界経済が成長すれば貿易も盛んになるので、ドルを多めにばら撒かなきゃいけない。石油や鉄鉱石が値上がりすれば貿易のために多めのドルがいる。このバランスが重要なのでしょう。ドルを多めにばら撒くとドル金利の低下を通じて世界経済が刺激され、タイムラグを伴い貿易額が増えドル需要が増えバランスするという安定的に作用する経路があるように思えます。

中国が石油の支払いのために米国債を売ればドルで石油代金を受け取った産油国米国債を買えば持ち主が変わるだけで、ドル金利には影響しない。


ドルが基軸通貨の地位を失うと事情は一変する。外国が貿易のために保有しているドルが一気に余剰となり大幅に下落するかもしれないと思います。


私の長期の見解は「ドルの基軸通貨の地位に気をつけよう」です。
一方、短期・中期は「金利差が重要と思うが、美人投票はよくわからない」。


ドルの基軸通貨の地位と政治の関連に関してこの本が面白かった。

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