ジム・ロジャーズ 「アメリカ経済の大失敗」雑誌 Voice 12月号
藤巻さんの本や雑誌がでるとマーケットは藤巻さんのポジションとは反対動くというジンクスがあるのか、円高・米価部安・日本株安・長期金利低下となりました。 米景気を悲観する見解がメディアに多いようですが、「巨額の損失をさっさと発表するアメリカは日本とは違うなあー」というのが私の感想でした。
雑誌Voiceの新聞広告を見るとそそれられるフレーズ、ジム・ロジャーズ「アメリカ経済の大失敗」とありました。
- 出版社/メーカー: PHP研究所
- 発売日: 2007/11/10
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ジムは金融市場の役割、資本主義と成長の関係、金余り現象、歴史を学ぶことの重要性を簡明に説明しています。
― 金融市場の役割とは何ですか。
ロジャーズ それは資本の源です。経済が成長するには資本が必要で、投資によって資本が増えるのです。 資本が無ければ工場も、高速道路も建設できません。 金融市場がなければわずかな資金だけになるので、何も達成できません。 資本を増やすには投資が不可欠です。 投資がなければ経済の成長はわずかで、しかもスローなものになる。まず経済発展は望めないのです。
資本主義経済がない国の経済は、成長しませんでした。 ソビエトは金融市場がなかったので、経済成長がなかった。 (中略) 金融市場が完璧だといっているのではありませんが、これ以上よいシステムは誰も考え出していません。 (中略) 国民全体の生活水準を上げるシステムで成功したものは、資本主義しかありません。
― 金融市場では、お金がお金を生むメカニズムがあります。
ロジャーズ (略) 投資で資本が増えると工場ができ、そこで仕事が生み出され、市民の生活水準が上がります。 これほどよいシステムがどこにあるでしょうか。 工場をつくって製品や食品を生産する企業もお金持ちになり、そこで働く人にも金が入って生活水準が上がる。 株主もお金持ちになり、政府も税金が入ってくるから利益を得られる。皆の生活水準を上げたければ、資本主義がベストです。
― なぜ政府は紙幣をどんどん印刷するのでしょうか。 それは悪循環になるのではないか。
ロジャーズ 紙幣をどんどん印刷すれば債券が値下がりし*1、インフレが悪化し*2、通貨を弱くし*3、投資家がおカネを失い始めます*4。彼らを救済するために*5、政府はさらに紙幣を印刷する*6。 そしてますますインフレが悪化する。 (中略) あちこちの中央銀行が冒している重大な間違いです。 最終的には誰もが憂き目をみるでしょう。
歴史は日々の投資のオペレーションには役立ちませんが、何か事が生じているとき、同じことが過去に起きていると気づかせてくれる、ということです。
ジムの経済に対する見方がはっきり現れていて非常に興味深い。 ところが、その章の見出しが「中国のバブルは必ず弾ける」、確かに中国のバブルついてそう言及してはいますが、これはお粗末。 センスを疑っちゃう*7。
更に、ジムは2008年のアメリカ経済について、
いまアメリカは利率を下げるというひどい間違いをしています。債券市場は下降線をたどっていて、商品市場はあがり調子ですから、利率をカットするのは間違いです。景気後退がさらにひどくなり、最悪の状態になる。
と指摘しています。 ここは重要なポイントなので、この状況でなぜ金利カットがマズイのかインタビューで踏み込んでもらいたいところですが、インタビューアは答えを聞いただけで満足しちゃったみたい...。
沢山ホームワークをこなしなぜそうなるかというロジックを自分で考えブローカーの言うことなんか聞かないジム・ロジャーズから、ジムのロジックを引き出そうせずジムの言うことを聞いて満足するインタビューアの記事にはフラストレーションが残りますね。 国際ジャーナリストは要人からキーワードを聞き出せば原稿用紙を埋められてOKかもしれないが、それでは読者は賢くなるチャンスを逃してしまう。 せっかくジム・ロジャーズにインタビューする機会を得たんだらかそこに踏み込んでもらいたかった。 いっそ、ジムがオフレコと指定した箇所を除くインタビューテープをネットで公開してくれればみんなでよってたかって議論でき建設的かも。
一瞬、藤巻さんがインタビューすればハイレベルな記事になったのにとも思いましたが、すぐに思い直しました。 ホームワークしつくしているお二人のことですから投資オタクネタで盛り上がり一般人にはチンプンカンプンになるに違いない...。