日本の構造問題の本丸
海部美和さんのブログ "Tech Mom from Silicon Valley"の3/18の「企業の『成長という幻想』」にて、
海部さんの友人氏いわく
「だからさぁ、成長しない安定した『キャッシュカウ』(じっとしていてもミルクが出てくる)になったら、そのお金は配当にして株主に還元すればいいのにさー、日本の企業はそれもしないから、投資家はぶーたれるわけヨ。」
これを読み、日本企業は株主のものじゃなくて従業員のものだったりするから、従業員に給料を支払うためには売上が必要というロジックで(売上)成長戦略に走るんだろう、と私。
海部さんいわく
私の本「パラダイス鎖国」では、「成長戦略」のほうの面から「終身雇用の罪」について書いたけれど、実はこちらの「楽隠居戦略」も日本の企業ってダメで、その意味でも「終身雇用」に罪があると思っている。本では字数が足りなくて(10万字でも足りなかった・・・)、書けなかったけれど。
ここで私は、「あぁ、そうか!」と思った。 日本の構造問題の本丸は
- 会社は従業員のもの
- 終身雇用
- 既得権を尊重する文化
このあたりなのだ、とクリアに認識したのだ。*1 この3つはお互いに絡み合っていて、ほとんどの日本人はこれに何らかの恩恵を受けその上で生活しているから、かなり厄介だと思う。
変化が無い時代とか変化がゆっくりな時代には社会を安定にする効果があったが、The Word is Flat な時代には経済の足を引っ張ってしまう。 政府の累積赤字が普通の水準ならば「パラダイス鎖国」を続けるのもいいのかもしれないが、すでにヤバそうな水準で政府が財政破綻したらパラダイスどころじゃなくなっちゃう。
パラダイス鎖国 忘れられた大国・日本 (アスキー新書 54)
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海部さんの「パラダイス鎖国」、面白い本です。
*1:以前からとても怪しいと認識はしていたが、今回は霧が晴れたよう感じるのである。