デフレからインフレへの転換

6/2 日経朝刊 「月曜経済観測」 by モルガン・スタンレー・アセット・マネジメント投信社長 ジョン・アルカイヤ氏

食料品などの値上げが相次いでいるが、まさにデフレから脱しようという瞬間だ。 先週の株価や長期金利の上昇は、日本経済の好循環入りの可能性を示唆している。

脱デフレで人々の消費行動が変わる。(中略)。 日本経済はティッピングポイント(状況が劇的に変わる瞬間)に近づいていると思う。

1990年以降、公的年金なども含めて日本での資金運用は基本的に株式よりも債券だった。 流れが逆転する。 債券が売られ、長期金利の指標である新発10年国債利回りは年内に2%に乗せ、向こう3年以内に3%をうかがう可能性もある。

最近、中東の有力顧客から日本株運用の増額を要請された。 追加資金がドルでも株式でもなく円債で渡されたから、社内でも話題になった。

サブプライム問題でまたデフレ側に戻っちゃったかなあと思っていましたが、グローバル経済の成長による資源高で、痛みを伴いながら(ガソリン高いなー、トホホ)デフレから脱しようとしている模様。


藤巻さんのシナリオの一つがやっと実現するか?

  • 人々のマインドがデフレ(現金・預金・債券でもっていたほうが物価やリスク資産が下がるから有利)からインフレ(物価が上がるから特に現金を持っていると購買力が減少して不利)に転換すると、先延ばししないで早めに消費や投資をするようになるり、GDPが増大する。
  • マズ目端が利く人たち(例えば上記の中東の有力投資家)が債券を売り株や不動産を買い始めるから、長期金利の上昇と、株・不動産の上昇が起きる。
  • 資産価格が上昇すれば、家計や企業のバランスシートと期待の改善を通じて、消費が増加、投資が増加する。
  • 消費や投資が活発になれば、貨幣の流通速度(V)が増大する。
  • 投資が活発になれば、借り入れが活発になり、マネーサプライ(M)は増大する。
  • MV = PY だから、右辺も増大する。Pは物価、YはGDP
  • マネーサプライが増加すれば、円に下落圧力が加わる
  • 企業部門が借り入れするようになれば、国内の貯蓄過剰(=経常黒字)が消え、円は安くなりやすくなる。
  • 円が下がれば日本人の労働の需要も増えるから賃金上昇が始まって消費も伸びるのでは?


長期金利上昇といっても、「向こう3年以内に3%をうかがう」なので、「普通の経済状態のちょっと景気が悪いあたり」ということでしょう。 絶好調になるとはアルカイヤ氏は見ていないように思えます。


値段がつくからには売り手と買い手がいる、つまり両サイドの観点がある訳ですが、マスコミは話題になってニュースが売れそうな「悪い話」サイドを好んで取り上げます。 売らなきゃマスコミの皆さんだって生活に響くから非難する気はありませんが、「逆サイドから見たらどうだろうか?」と考えるようになって、ミクロとマクロの間で混乱しなくなったような気がします。