為替の景気への経路

新聞・雑誌・本を読んでいて、「円高だから輸出企業にマイナス」とか「円安が輸出企業の業績に寄与」という「エコノミスト」のコメントをしばしば見かけますが、

  • 為替はモノ・サービスの外国との取引の黒字 NX に影響する
  • NX = 輸出 − 輸入

という関係だから、輸出企業関係だけが影響受けるわけではない。 輸入と競合する国内産業とか、海外のサービスと競合する国内サービスも為替で輸出企業と同じく為替で影響を受けるハズ。 日本では過去長く 輸出 > 輸入 だったから、貿易 = 輸出、為替で影響受けるのは輸出 と思い込んでいるのかも知れません。
輸入品と直接・間接に競合する国内産業って、けっこう幅広いのではないだろうか。

  • 農林水産物はあれこれたくさん輸入しているから、農業・林業・漁業は為替に影響を受ける。
  • 海外に仕事がいっちゃう業界では、(ブルーカラーやホワイトカラーの)労働の需給は為替に影響を受ける。
  • 海外の観光地と競合する国内の観光産業も為替の影響を受ける。

藤巻さんは以前からプロパガンダしていましたが、実体経済に作用する経路は「エコノミスト」が思っているよりも裾がひろく、その上、思惑で動く資産価格にも作用して、その結果が企業や家計のバランスシートや将来への期待の経路で消費や投資に作用する。