10月29日 日経 経済教室 by 深尾光洋氏

私の視点での要約メモ + 私自身のたわごと


CDS(Credit Default Swap)は一種の信用保証である。 A社発行の額面1億ドル満期5年の社債保有するB銀行はA社が信用のおけるC保険からCDSを購入し、毎年C保険に債務保証料として元本の一定割合を支払う。 もしA社が倒産し債券が償還されなくなったら、C保険はB銀行に社債価値の減損分を保証金として支払う。


CDSは債務保証としての機能のほかに、実は純粋な投機として使われがちである。 例えばB銀行がA社の破綻に賭ける場合、A社の債券を保有せずにCDSを買う。 逆に破綻しないほうに賭けるならば、CDSを売る。


CDS販売による収入は将来の保証債務の負担に見合うはずなので大半を引き当て処理する必要があるが、引き当てせずに利益計上すれば(見せかけの)利益を出すことができる。 景気が良くて何も起こらなければ結果オーライとなる訳ですが...。


2001年から2007年にかけてCDSの残高が1兆ドル程度から60兆ドルまで指数関数的に上昇した。 ちゃんと引き当てないならば、CDS販売の(見せかけの)利益も指数関数的に上昇したことでしょう。 利益操作の誘惑は強かったか?


CDS相対取引のため、誰がどのくらいポジションもっていて、ちゃんと引き当て処理しているかわからないので、金融市場が(いざというときに保証金が支払われないのではないか?と)疑心暗鬼になってしまった。 D社が破綻すると社債を持っていたE社が保証金を受け取れず破綻し、E社の社債をもっていたF社が... と疑心暗鬼が連鎖反応してしまう。


シカゴ市場でCDSを扱おうという話はこの文脈から出ている。


グリーンスパン前議長が低金利で市場を刺激しすぎて、あるいは97年98年の経済危機で懲りた東アジア諸国がドル貯蓄(債券投資)に励みすぎて長期金利が上がらず、不動産価格の上昇とそれをアテにしたサブプライムローンが流行り、グローバルな好景気からくる石油や資源高が景気を冷やしはじめ、サブプライムローンがついにはじけて金融機関を直撃し、市場の疑心暗鬼の結果、リーマンが破綻し、それがCDSを販売しまくったAIGを直撃した。