金融危機以前の藤巻シナリオはこうだったのでは

国内で生産(GDP)したモノやサービスは、消費されるか、(今後の生産のために)投資されるか、あるいは純輸出(=輸出-輸入)される。
人々が貯蓄を増やそうと消費を減らすと、減らした分を投資か純輸出を増やさないとGDPが減少し、国内の生産能力よりも実際の生産が下回ると不況で失業が生じる。 消費が振るわない分を輸出で頑張り稼いだ外貨を円に変えると円高となり輸出が困難になり、結局は国内の生産能力が余ってしまう。
これを踏まえると、不況から脱するためには

  • 貯蓄を減らして消費を増やす
  • 国内に有効な投資先が現れる
  • 輸出しかつ外国資産を取得する

のいずれかが起きる必要があるハズです。
この視点でメディアでの議論をみると???な話が多いような...。 どうすれば消費が増えるか、投資が増えるか、外国資産を積極的に保有するか、こういうKey Pointの議論は少ないようで。


藤巻さんのシナリオの一つは残念なことに実現しませんでしたが、シナリオはとてもロジカルだったと思います。

(1) 日米金利差が開くことで円が安くなり、
(2) 日本のリスク資産が割安になることと円安で日本の景気の回復を期待する外国人投資家が日本の土地・株を買うことで円ベースでの資産インフレが生じ、
(3) 資産効果で資産保有者の貯蓄の必要性が減る結果、(特に富裕層の)消費が増え、
(4) 消費(需要)増とバランスシート改善で企業も投資を増やすことで、
(5) 国内の生産能力がフル活用されるに至り、この時点でCPIのデフレがインフレ気味に転ずる。
この過程の資金需要増を織り込むことで長期金利も上昇していくし、銀行の貸出も増加することでマネーサプライも増加していく。マネーサプライ増とインフレ期待が円安圧力となる。 インフレ期待はデフレ期待とは逆に消費を盛んにするし、円安は海外から国内に仕事が戻ってくる。
これで景気が回復し普通の経済の状態(普通の金利、普通のインフレ率、普通の景気)に戻る。


3月に向けて執筆中の本で藤巻さんはどのようなシナリオを示唆してくれるでしょうか。 楽しみです。