日米のWebの違いと成熟経済での生き方

梅田望夫さんが「日本のWebは(ハイレベルの人が関与せず、期待とは違う方向に進んでしまい)『残念』」とインタビューに答え、日本のWeb世界では盛り上がっている。
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0906/01/news045.html
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0906/02/news062.html
そして、海部美知さんが梅田さんの意図を上手に解説をしている(と私は思う)。
http://d.hatena.ne.jp/michikaifu/20090603/1244052161


経済や産業が成熟してくると(その産業にとってのフロンティアが消滅すると)儲けにくくなるから

  • 規模を追求する
  • 新たなフロンティアを目指す

とならざるを得ず、米国はフロンティアを目指すべくモノづくりからS/Wの世界へ才能を移動させ、グローバリゼーションで世界中の優秀な才能を関与させている。 BlogやSNSは離れたところに住む才能たちがコミュニケートしてアイデアをよりスゴクする道具、このように私は理解していた。 シリコンバレーは同業者が集まっているというメリットを、グローバルに拡大したようなものだ、と。


梅田さんの一言で自分の身の回り(日本)を見回してみると、Webでクリエイティブな議論が盛り上がることが少ないことに気付く*1。 (勤務する)会社の中でもクリエイティブな議論はなかなか盛り上がらない。 有名大学・大学院の出身者がずいぶんいるハズなのに。

今の商売の商品価格が下落して新たなフロンティアが欲しい場合、誰も見たことも行ったことも無い世界を目指すためにはイマジネーションと理論と勇気が頼りで、Webやネットを利用した議論は大いに役に立つと思うが、私の身の回りでは流行らない。 友人・知人のまわりでも(本業では)流行っていないようだ。

なぜだろうか?

(1) 規模の追求でやっていけると思っているから --- 本当かなあ? ならば業界再編はもっと前に起きていていたハズだし、もっとアグレッシブに海外展開してたハズではないか...。
(2) フロンティアを目指す必要性を認識していないから、あるいは、コンセンサス社会だから誰もが合意するようなことしかしたくないから(フロンティアのようなヤバそうなことやイヤ)。
(3) 出る杭は打たれる、目立たないよう・嫉妬されないよう・失敗しないように振舞うのが日本のエリートの正しい作法だから。
(4) もう20年近くになる長期不況とデフレで後ろ向きなことに追われた結果、フロンティア・スピリッツは忘れられてしまった、あるいは、余計なことをしないことが一番良いと学んでしまったから。


フロンティアを開拓して経済が発展するならば、円高のメリットを大いに享受したい。
フロンティアを開拓できないならば、せめて円安で人々に仕事を(グローバルにみて貧乏になるのを我慢するから)。

*1:とはいえ、私はWeb上の日本の匿名氏たちのblogのおかげで経済を勉強させてもらっている、感謝。