良い金利上昇と悪い金利上昇

Bloombergのインタビューにこう書かれている。

藤巻氏は世界的な金融危機が発生する前の06年6月に行ったインタビューでも、長期金利が6%に上昇する可能性があると述べていた。

06年は国債の借り換えがピークで国債発行がとても多かった年だった。(先日、日経の記事で思い出した)。再び、国債発行がとても多くなりそうで、需給のバランスが限界を超え、長期金利が急騰する。こういう目論見で強気なプロパガンダか。


さて、藤巻さんのプロパガンダを振り返ると、06年の時は「良い金利上昇」だったが、今は「悪い金利上昇」とある。
具体的にどうちがうのかな。


06年

  • 為替レート 110〜120円/ドル程度
  • 株価 上昇した結果、15000円〜17000円程度
  • 地価 上昇してきた
  • 景気 回復の雰囲気、新卒の就職もよくなってきた
  • 財政 新規国債を発行するも締め気味

リスク資産取得のため、国債が売られる。リスク資産取得の際に借り入れが用いられマネーサプライが増える。借り入れの増大と共に長短金利差が拡大すれば銀行は儲かる。儲かればより積極的に貸出ができる。株価・地価が上昇すれば企業や家計のB/Sがよくなり、家計の消費や企業の投資は増える。また、マネーサプライが増えれば円は安くなり、景気にプラスに作用する。 良い方向に作用しそう!。


09年

  • 為替レート 90円台から80円台へ
  • 株価 下落して9000円台
  • 地価 再び下落
  • 景気 悪い、新卒の就職は再び氷河期に
  • 財政 新規国債50兆円?

景気が悪いときに長期金利が上昇すると、借り入れを使った投資需要が減少、国債価格下落による銀行の損失から来る貸し渋り長期金利上昇が株価や地価に悪影響し逆資産効果で消費が低迷、マネーサプライの減少は円高方向に作用する。こういう経路で実体経済が更に悪化。税収減で政府の財政は更に悪化。政府のファイナンスや大不況脱出のための金融緩和で日銀がマネタリーベースを増やさざるを得なくなると、人々の貨幣へ選好が不動産や株式への選好に転じ、急速にインフレが進んでいきそう。貨幣の代わりに不動産や株式が過剰に好まれ、貨幣価値が下落するインフレは進むが景気は良くならないということもあるかもしれない。 マネーサプライ増で円安に向かうことで景気は回復するのかな。でも途中が...。


「良い金利上昇」と「悪い金利上昇」、ずいぶん違うなあ。後者では経済危機を起こして激しいインフレに転ずるケースもあるから避けねばならないんだ。