北野一さんの「なぜグローバリゼーションで豊かになれないのか」を読み返していた。

論旨は、

  • グローバリゼーションの結果、株主は世界共通の期待収益率を求めるようになった。
  • 経済の実力すなわち潜在成長率は労働力人口の伸び率と生産性の上昇率の和と考えていい。日本だけが生産性が突出して上昇ということはないから、労働力人口が減少する日本の潜在成長率は他国と比較して低くなる。
  • グローバルな期待収益率を求められる日本企業は慢性引き締め状態である。 株主はグローバル基準で純利益を求める結果、他のステークホルダが割りを食う。
  • こういう状況では、借り入れを増やすことで資本コストを減らす(株主側からみればレバレッジを増やす)ことが合理的であるが、日本企業は借り入れによる資金調達を減らし、高コストの内部留保を増やしている。内部留保は低コストと勘違いしている。
  • 日本企業は利益をバンバン配当で株主に配り、自社株買いと負債による資金調達を増やすことで資本コストを減らすことで、低い潜在成長率に適応するのではないか。

と、いうことだが、

  • 企業の負債縮小が止まり、増加に転ずれば、日銀の金融緩和はマネーストック増として作用し、デフレは止まり景気は良くなっただろうに
  • 企業部門が負債を増やしていれば政府の財政赤字がここまで巨大にならずに済んだかもしれない

と思った。
かつて株主資本はタダと勘違いしてバブルを引き起こし、内部留保(事業で稼いだキャッシュ)は借り入れよりも低コストと勘違いしてデフレに加担(そうとは知らずに)する。