日経朝刊1月10日 経済教室 「デフレは悪」の合意を by 松本大

骨太な主張だ。 デフレは経済をスローダウンさせ日本を相対的に貧乏にすると私は思っているが、影響力がある松本大さんが日経で主張すればそう考える人が増えるに違いない。

日本が競争力を落としてきた原因として、大きく分けて3つの原因があると思う。 第一に、個人の競争力が落ちてきているという点。 第二に、経済の血液といわれるマネー、とりわけリスクマネーが回らなくなってきているという点。 第三に、あらゆる変化に対する抵抗、対応の遅さの問題である。

第一の問題に関してはスキップ。 第二の問題に関しては家計部門の預貯金が金融機関を通じて国債流入するからリスクマネーに回らないのか、資金需要が無いからあるいはリスク資産のリターンを期待できないから国債に流れ込むのか議論があるところではあるが、デフレ期待のもとではリスクマネーは回らないと私も思う。

国は潰れない(と思われている)存在であり、リスクに対する感覚が甘い。 そしてリターンに対する要求も低い。

微妙な表現ではあるが、低リスク低リターンのつもりが高リスク低リターン、つまり金利は急騰しても不思議ではないと指摘している。
第三の問題については

私は「デフレは社会の病気」だと考えている。デフレの中ではモノを今日買うよりも明日買うほうが得である。だから今日判断しないで明日判断することに慣れ、何事にも対応のスピードが遅れていく。
「今あるものを守る」「今あるものを食いつなぐ」戦略の中では「デフレはいい」ことになってしまう。 これは縮小均衡的な発想であり、未来は尻すぼみである。

どうしたらこの罠(わな)から抜け出せるであろうか。(中略) 実現可能な方法は一つしかない。 インフレを起こすことである。 インフレは実質的に「蓄えた者」と「リスクを取らない者」に対するペナルティーであり、「これから生きる者」や「リスクを取る者」に対する補助になる。 膨大な固定金利債務を負っている国のバランスシートを改善するにも効果がある。

デフレは社会の病気、インフレはお金(円)を抱え込んで何もしない(投資を通じて社会を豊かにしようとしない)者に対するペナルティーという表現がgood, 同感!。