早川元日銀理事

http://www.bloomberg.co.jp/news/123-NFP0206JTSEO01.html
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPKCN0JB01320141127?sp=true

追加緩和により日銀の長期国債買い入れ額は月間約10兆円と、国債発行額のほぼ全額、ネットの年間新規発行額の倍の規模になる。早川氏は「これがマネタイゼーションではないという根拠は、少なくとも日銀サイドにはない。国債引き受けではなく市場を介していると言っても、市場機能はもう死んでいるので、形式的な言い訳に過ぎない」と言う。

唯一、日銀の国債全額買い入れがマネタイゼーションでないと言えるのは、「政府が財政健全化にコミット(約束)しているという前提がある場合だが、今回の増税先送りでそれが破られてしまったので、マネタイゼーションでないという理屈も崩れてしまった」と語る。

、「出口が非常に難しくなった。16年のどこかで2%に達する可能性が出てきた中、それが本当に起こった時どうするのか。政府の財政規律が全く市場に信じられてない状況で、日銀が国債の買い入れを止めたら、まさに国債が暴落する可能性がある。その一方で、買い入れをやめなければ、どんどんインフレが加速していく」と語る。

「日銀の追加緩和も危ういと言えば危うい。黒田総裁は自分で認めないだろうが、消費増税の決断の環境を整えることを意識しただろう。勝ち逃げでなく『食い逃げ』された感じだ。今回の追加緩和で発行される国債のほとんどを日銀が買うことになり、マネタイゼーションの色彩は強くなった。政府から財政健全化のコミットメントが欲しいところに消費増税が先送りされたため、マネタイゼーションとみなされやすい環境になってしまった」

「これ(成長戦略の成功による実質2%、名目3%の成長実現、もしくは2020年度までの消費税率15%への引き上)以外に2020年度に黒字化できる方法はない。アベノミクスが大成功してもできない目標だ。今回の増税延期は事実上『2020年度のPB黒字化も死んだ』との意味で非常に大きな先送りで、日銀の政策は本当にマネタイゼーションの色彩が強くなった」

「日銀が毎月10兆円も国債を買っているため。債券市場では簡単に反乱は起きない。海外投資家はこれまで何度も日本国債を売り浴びせてきたが一度もうまくいかない。一方、日銀が国債買い入れを停止したらすべて『終わり』との状況はますますはっきりしてきた。日銀が買い入れから撤退すれば大騒ぎだ」

「しかし今の状況では、物価が本当に2%に近づくと(出口戦略を検討すべきだが無理であるため)日銀はにっちもさっちもいかなくなる。英語で言う『catch 22』(動きの取れないジレンマを示す)という状況だ」

政府の財政健全化の約束が反故になったのでprinting moneyではないという立場での追加緩和はもうできないが、JGBの買い入れをやめれば金利が高騰して政府は資金繰りが苦しくなり日銀のB/Sは悪化して悪性のインフレ・円安は進むので、結局JGBの買い入れを続けざるを得ない。でも、printing moneyであることが誰の目にも明らかになるのでインフレ・円安はさらに加速する。こんなところでしょうね...。