パラダイス鎖国 --- 読み流すのはもったいない #2
パラダイス鎖国 忘れられた大国・日本 (アスキー新書 54)
海部さんが個人として感じる「パラダイス鎖国」をデータを参照しつつマクロに俯瞰すると、
- かつての輸出産業の電機の有名ブランド企業が弱くなり、自動車や精密機械は今でも強いが、新しい新興輸出産業が出てきていない
- 内需産業では製造業が減りサービス業が増えてきたが、サービスの分野で強力なインパクトを持つ日本の新ブランド企業は見当たらない
- 日本は多くの面で先進国の中でも暮らしやすい国になったが、ひとり当たりの所得は伸び悩んでいる*1
- 大企業の雇用の流動性が低いから、産業の新陳代謝が進まず、新しい産業やベンチャーが勃興する力も弱い
- 社会制度の分野でも、議論が分かれることは一歩も前へ進まない、長い時間をかけて*2「暗黙の合意」ができるのを待たねばならない
このように海部さんはまとめる。
日本の場合、潜在パワーが大きいが故に、エネルギーが、「議論が分かれない」「衆目の一致する」分野に集中し、
- お客さんの要求水準以上のことをやったり → でもそういうスゴーイことをやってもたいして余分におカネをはらってくれない...
- だれもが参入して供給過剰になり → 値崩れして
疲弊と閉塞感を増大させる。
私が勤務する会社も、お客さんの方を見ず競合の動きばかりを気にする傾向が強い。 お客さんをどうHappyにするか。 Happyとはお客さんにとっての売上( = 数量×売値)が増えるとか、固定費、変動費が減るとか、個人が顧客の場合には時間richになれるとか、将来の収入増に繋がるとか、エモーショナルな満足感とか。こういうことを考えなきゃいけないと思う。 ... かくいう私も、10年前は、ぶっちぎりのスペック追求すればいいじゃん!と言っていた。でも、これは間違っていた。 おおいに反省しています。
海部さんは「パラダイス鎖国」現象の本当の問題を次のように総括する。