「おもてなしの経営学」の中島さんのここに賛成!

ぬるま湯沸かしのプロパガンダです。
中島さんは おもてなしの経営学 アップルがソニーを超えた理由 (アスキー新書) の第1部で「価値を生み出す場所が(先進国の市場では)機能や性能の実現からUser Experienceに変化した」ことを指摘し、第2部で「そういうビジネス環境では技術とビジネスの両刀使いが重要で、そういうエンジニアがたくさん存在する米国の強さ」を指摘する。
そして、第3部では資本主義と技術のダイナミックな関係を説明する。

米国で暮らしていて感じるのは、上の人たちが下の人たちを搾取する社会構造になっていること。それはもう仕方のない現実だから、米国人は搾取したお金は下に回すとか、機会だけは均等にしようとかしている。例えば親が下にいても、その子供は上に上がれる仕組みを作るということです。

生きているうちに経済格差がついてしまうという現実と、格差を世代を超えて固定化すると長期的には社会の活力が失われるというもうひとつの歴史的経験との、折り合いをつけているアメリカ資本主義社会の懐の深さが見えますね。上に行きたいと思う若者の意欲を社会に組み込んで生かす仕組みをオトナが創れるかどうか。 ---- こういう仕組みを持つ点で米国はまだまだ強いと私は思うのです。
1世代で上に上がれるかもしれないと思えば知恵を絞る(イノベーションが生まれる)し、自分の代で上がったと思えばこそパーッと消費して経済を元気にできるのではないだろうか。
強欲の権化のように見えたビル・ゲイツ君も自分の時代が終わったと悟る?やいなや、儲けた金を下に回すと決意したのはすごいと思う。

日本は明らかに「搾取される」ところに入っている。(中略) ひとつの答えとして鎖国して徹底的に守る、という選択肢もあるけど、そうでなければ思いっきり市場をオープンにしたほうがいい。外資に対抗できるような投資銀行を日本で育てて、国内でお金を回して本当の価値が生み出されるように市場を最適化する。

日本の上場企業の株を外国人が買うと、日本企業が上げた利益は配当やキャピタルゲインとして外国人株主にも回る。 "The World is Flat"な時代では賃金に関してもグローバル・アービトラージが働くから賃金は(生産性を向上させない限り)あがりにくい。株主になれば日本企業の努力の成果を受け取れるのに...。
外資に対抗できる投資銀行を育てる他に、日本から外資投資銀行の株式を容易に買える様な政策を実施してもいいのではないかとも思う。

民間企業の自由な競争やグローバルな視点が必要で、政府は直接関わらずに規制緩和や税制で間接的に健全な自由競争と民間投資を促すのが正しいと思う。
政府の役割のひとつは、法律や税金などを定めて経済原理がうまく働くようにすることじゃないですか。(中略) キャピタルゲインへの課税を普通の収入への課税より安くしているのは、企業にちゃんと運営のためのキャピタル(資金)が流れるようにするためで、その点すごく考えて課税しているんです。政府にしてみれば税金は、人間の行動パターンをコントロールできる道具になりうるわけです。

まるで経済学の教科書みたいなコメントだが、私もそのとおりだと思う。逆に、日本の典型的な考え方が教科書から離れたところにあり、だから経済がうまく回らないんじゃないか、とも言えるが...。

僕がやりたいのは、誰もが欲しくなるような新しいサービスやデバイスを作って市場に投入し、経済原理でシフトを起すこと。

同感!!!。 すごくかっこいい。

(日本では)「政府が何かしないといけない」という根本の考え方があるじゃないですが。米国だと政府は単に競争を緩和するのみで、あとは資本主義に任せるのが基本。お金が儲かりそうなところにお金が集まってくるという環境を作らない限り、政府がいくら「(中略)」と叫んでもお金は集まってこないのだから何も起こりませんよね。(中略)
ベンチャーも同じ話で、米国政府からは「ベンチャー支援」といった話は聞きません。ベンチャーが大企業と対等に戦えるための法律は整備するけど、あえて資金援助する必要はないと考えている。法律さえ整えておけば欲の皮の突っ張ったベンチャーキャピタルがお金を勝手に入れてくれるので、自然とお金は流れる。

同感!!!。
でも、ここが難しい。社会の主力の考え方やちょっとした制度の差が複利で作用しつつ「豊かさ」の誕生―成長と発展の文明史につながるのだろうと思った。