10月24日モーニングサテライトの藤巻さん

テーマは「ドル建て日本国債のすすめ」


国の借金は830兆円、金利が1%上昇するといずれは支払い金利8.3兆円増える。借入金利の平均が6%になると約50兆円が金利支払いに消える。ちなみに昨年の税収は49兆円。

1980年の政策金利は12.75%, 長期金利も10%近くあった。長期金利6%は想定外のことではない。

プライマリーバランスを黒字化しても、(金利が上昇すれば)金利支払いが40兆円、50兆円になりうる。それほど財政赤字はひどい状況にある。

参議院選挙後には、相当大幅な増税+歳出減等 をやらざるを得ない。
この政策ミックスは景気にすごく悪影響する。
それを相殺するためにマイルドな資産インフレ政策が必要。これ以外の政策は無い。(つまり、それ以外の道は財政破綻ハイパーインフレにつながっている、と理解しました)

資産インフレを作るためには円安が必要。円安になれば資産インフレ。

円安にするためには「ドル建て日本国債」が一番いい。

  • 円安
  • 政府は先物を使い円金利で資金調達可能

個人は円を売りドルに変え、ドルの金利の「ドル建て日本国債」を買う。
政府は「ドル建て日本国債」を売ることでドルを調達し、ドルを売り円を買う。同時に先物でドルを買い円を売る。先物のドル買いで「ドル金利-円金利」を政府は稼げるので、政府はそれを金利支払いにまわすことで、実質円金利で資金を調達できる。


このあたりの仕組みは
藤巻健史の実践・金融マーケット集中講義 (新書) ASIN:4334032176
私の説明でよければ
http://d.hatena.ne.jp/guerrillaichigo/20050114
http://d.hatena.ne.jp/guerrillaichigo/20050119


本村さんの質問 「(円安を)アメリカが黙っていないと思うのですが?」
藤巻さんの回答 いずれ円の国債は売れなくなる。(長期の国債を沢山発行しようとすると長期金利は大きく上昇しそうな状況に陥る)。だからドルで発行しないと日本は財政破綻する、と言えば文句は言えない。


ここからは私のたわごと

景気が回復すれば自然と資金需要が増え金利は上がる。
個人金融資産が預貯金から株式等に移れば預貯金の裏側(金融機関の資産の部)にあった国債は売られ、金利は上がる。
今は長期金利がまだ低いゆえ政府は長期国債を発行できるが、普通の長期金利に水準になると利払いが巨額になるゆえ、財政破綻を避けるためには中長期の国債を発行できなくなる。プライマリーバランスが黒字化しても巨額な累積債務はすぐに返せない(政府は60年かけて返す計画)ので、国債の借り換えが必要である。大量の短期国債を市場に押し込こむと政策金利を維持するために日銀が買いオペしマネタリーベースが増えることになり、金利Up vs. マネタリーベース増のジレンマに直面するかも知れません。*1
この矛盾を解決するアイデアが藤巻さんの「ドル建て日本国債」。
為替先物は1年超えぐらいまでなので、「ドル建て日本国債」が発行されるとすれば、10年の個人向け国債のように、3ヶ月とか6ヶ月とかの変動金利に連動する国債でしょう。
国債の借り換えが毎年数十兆円〜百兆円で、そのかなりの部分を「ドル建て個人向け日本国債」とすると、十分に円安要因となりえますね。円キャリートレードのバブルがはじけた時の円高時に売り出すと沢山売れて、キャリートレードの巻き戻し分をすぐに吸収するかも知れません。

key word : ドル建て日本国債, 藤巻健史, 財政赤字, 増税, 歳出削減, 円安

*1:かつて大量の短期国債を発行してもジレンマに陥らなかったのは、デフレ脱却のためにマネタリーベースが増えるのは結構なことだった。その結果、マネタリーベースがバブル期の2.5倍に達したのかも。